さよなら、わたしの北海道バレンタインLOVEって話
わたしはこの二週間ほぼ毎日チョコレートを売っていた。
私の働く店の隣は北国の某有名チョコレートブランドだった。どうやらそのお店は、私たちのところみたいな素人派遣バイトが販売をしているわけではなくて、実際に北国の店のカリスマ店員?的な人がわざわざ関東に出て来て販売しているらしい。だからか接客も私たちとは比べ物にならないくらい全力で、最後の方なんか喉を枯らしながら売っていた。
まぁ本当のことを言えば最初からちょっとかっこいいと思っていた。一人の男性店員。背が高くて心なしか向井理に似ている気がしたし、なによりその勤務態度が素晴らしい。なにがそんなにあなたを駆り立てるの?*1と思うくらい全力投球でチョコレートを売る姿。二週間で一体何回聞いたんだろう、その販売文句。とろけるような食感かぁ。試食、したいな。
同僚とコソコソ「ようじで配っている試食をそのままパクッとたべてアーンしてもらいたい」とかアホな話をしていた。仕事しろ。
だから最後くらいちょっとお話ししたいなーん、とか「おつかれさまでしたぁ」とかいってぇ義理チョコ渡したらどうかしらーん、連絡先交換しちゃったりしてぇとか妄想しながらついに迎えた最終日。
そんなわけでわたしの北国LOVEひょっとして遠距離恋愛!?は終わりを迎えた。向井理とは一言も言葉を交わすことはなかった。認識されていたのかすら今となってはわからない。ついでにもう一人いたそちらもイケメンなお兄さんと唯一交わした会話は「後ろ失礼します」であった。